「どうしてそんなことをするの?」「なんでできないの?」
つい、そんなふうに問い詰めてしまうことって、ありませんか。
親としては“理由が知りたい”だけなのに、子どもはその言葉に傷ついたり、心を閉ざしてしまったり。
チャイルドコーチングを学ぶ中で出会った「質問のスキル」は、そんな日々のもどかしさに、やさしい変化をくれました。
質問は“考える力”を育てる種
チャイルドコーチングにおける「質問」は、相手の中にある答えを引き出し、行動や成長へと導くための大切な手段です。
単なる情報収集ではなく、子ども自身が「自分で考える」きっかけを作っていく。
それが、コーチングにおける“質問のチカラ”です。
たとえば──
- 「やらなきゃいけないのはわかってるけど…」
- 「でも失敗するかもしれないし…」
そんな心の奥の声を、言葉として表に出してもらうために。
親の問いかけは、「信じているよ」「あなたの気持ちを知りたい」というメッセージでもあります。
質問の基本ステップ:ステップアップ式で
チャイルドコーチングで教わる「質問の順番」は、とても実践的だと感じます。丁寧にまずは意識して実施するとよいと思いました。
ステップ1:イエス・ノーで答えられる質問
まずは子どもが答えやすい、安心できる質問から。
「今日、学校どうだった?」
「おやつ食べた?」
ここで大切なのは、問いかけたあとのリアクション。
「うん」「食べた」だけで終わっても、否定せずにまず受け止める。
ステップ2:答えを自由に話せる質問へ
少しずつ子どもが慣れてきたら、オープンな問いにシフトします。
「今日はどんなことが楽しかった?」
「困ったことはあった?」
「なぜ?」「どうして?」ではなく、「どんなふうに思った?」「どうしたかった?」といった表現に変えるだけでも、子どもの心の扉は開きやすくなります。
わが家での実例:質問のかたち
私自身も、「質問のスキル」があることで親子の会話が少しずつ変わってきました。
たとえば、子どもがピアノの練習を後回しにしていたとき。
以前なら「早くやりなさい!」と言ってしまっていましたが、今はこう問いかけています。
「今日は、どのタイミングでピアノしようと思ってた?」
「練習、なんかやりにくいことあった?」
子どもは、「あとでやろうと思ってたのに」「今気分じゃなかっただけ」と、自分の言葉で説明してくれるように。
そんな時、「ちゃんと考えてたんだな」と、親のほうが気づかされることもあります。
“質問の質”を上げるには?
質問には良い質問と、そうではない質問があります。
やる気を引き出す質問
- 肯定的な前提で:
「今日はどこまでやってみようか?」
「どんなふうに進めてみたい?」 - 未来に向かう視点で:
「次はどんなことを頑張ってみたい?」
「終わったら、どんな気分になると思う?」
子どもが“できること”に目を向けた質問は、前向きな行動を後押しします。
やる気をしぼませる質問
- 否定から始まる:
「なんでそんなこともできないの?」
「どうしてこんな簡単なことも?」 - 過去を責める視点:
「この前もやらなかったよね?」
「また同じミスだね」
「どうして?」は悪気がなくても、子どもにとっては責められているように聞こえてしまうことも。
「本当はどうしたいの?」と聴ける親に
私が学びの中で最も心に残ったのは、「“どうして”の代わりに、“どうしたい?”と聞いてあげること」の大切さです。
子どもがイライラしていたり、やる気がなかったりする時、
「話を聞いて」と自分から言ってくれることがあります。
そういうときは、心の本音を見せてくれる貴重な瞬間。
「本当はこうしたいのに、できない理由があるんだ」と、自分の気持ちを整理している過程なんですね。
私もまだまだ未熟ですが、子どもが何かを伝えようとしているときには、
「どうしたかった?」
「それで、どんな気持ちだった?」
と、じっくり耳を傾けるように心がけています。
おわりに:子どもが“話したくなる親”でありたい
チャイルドコーチングの質問のスキルは、子どもを変えるものではなく、親である私の姿勢を変えるものでした。
問いかけは、相手の心に「あなたのことを大事に思っている」というサインを送る手段。
正解を押しつけるのではなく、
「あなたの答えを聞かせてね」という、やさしい関わり。
小さな質問の積み重ねが、
子どもとの信頼関係をつくり、自分で未来を切り拓く力を育てていく──
チャイルドコーチングを学びながら、そう実感する毎日です。
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