「早くしなさい!」「何度言ったらわかるの!」――
こんな言葉も、よかれと思ってかけています。
でも、子どもに問うと「わかってるのに言わないでほしい」と返されたとき、ハッとしました。
子どもの自己肯定感を育てるためには、「認める」声かけが大切だと、本書『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』が教えてくれます。この本では、NHK「すくすく子育て」キャスターを務めていたの天野ひかりさんが、親が何気なく使う言葉が、実は子どもの成長にブレーキをかけているケースを多数紹介。マンガ形式で分かりやすく、「これなら自分にもできそう」というヒントが満載です。
子どもの心を傷つける“当たり前の言葉”に気づく
本書では、たとえばこういう場面が取り上げられています。
- ゲームばかりしているときに叱る
「いつまでもやってると、頭が悪くなるよ」 - 宿題や習い事にやる気が見えないとき
「やりたくないなら、やらなくていいの?」 - いつも散らかしっぱなしのとき
「どうしてこんなにぐちゃぐちゃにするの?」 - 他の子と比べてしまうとき
「なんでうちの子はできないんだろう…」
親は子どものために口を出しているつもりでも、子どもにとっては「自分がダメだと否定された」ように聞こえる場合もあるのです。
気づかされた「ごはんのあとの声かけ」
我が家では、ピアノ練習を**「ご飯を食べ終わったらやるもの」と決めている朝習慣**があります。しかし、実際の朝の場面はいつもこう。
「早くご飯終わらせて、練習しなさい!」
「そんなに何回も言わなくていいよ…」
子どもの本音は、「今日はやろうと思ってたのに」という思い。それを、私の声かけで台無しにしていたことに、この本を読んで気づきました。
「自分のペースでできる」という感覚が奪われ、嫌々・適当にやる朝の練習になってしまっていた。よかれと思って言っていた「早く」が、心から「やろう」と思う純粋な気持ちを壊していたと知り、胸が締めつけられました。
「認めてサポートする関わり」に切り替えた瞬間
本書にあるヒントを参考に、少しだけ関わり方を変えてみました。
- 「じゃあ、自分がやれるタイミングでいいよ」
- 「宿題が終わったら、ピアノやろうか?」(問いかけ形式)
- 「今、やっておいてくれると、午後ラクだね」
すると、驚くほど子どもの反応が変わってきました。
数日後には、
「明日、外で遊びに行くんだけどね、先にピアノの練習しとくわ」
という予想外の行動まで。
自分で考えて決めることへの安心感が芽生えた瞬間だと感じました。
「認める」という言葉の力
本書のキーワードは「認める=誉めるではない」ということ。
誉め言葉には「結果」に焦点が当たることが多く、「認める」はプロセスや気持ちに寄り添う姿勢です。
- **「よくやったね」**より
- 「たくさん考えてくれたんだね」
たった一言、言葉を変えるだけで、子どもの自己肯定感はぐっと伸びていくと感じます。
「言葉の意図」を転換する4つのヒント
本書から、実践できるヒントを抜粋しました。
- 指示ではなく、問いかけに変える
→「いつやるの?」ではなく、「○時からがいい?」と聞く。 - 結果ではなく、過程に言及する
→「やり遂げたね」ではなく、「続けられたね」と声をかける。 - 子どもの選択感を尊重する
→「やりたくないならやらない?」ではなく、「どうしたい?」という雰囲気づくり。 - 「認める」「共感する」だけで話を聞く
→「そう思ってたんだね」「それだけ気持ちが強かったんだね」と受け止める。
巻末付録「7つのステップ」も補助に使える
実は本書の巻末には、QRコードで読める「考える子どもに導く7つのステップ」付録があります。
そこには、書籍のエッセンスを実践に落とし込むチェックリスト形式のツールや声かけの例がまとまっており、「読んで終わりにしない仕組み」がとても嬉しいと感じました。
本編を読みながら、気になる章に戻ってステップチェックもできるのは、親としての継続した意識の支えになります。
本書から私が得た“変化の兆し”
- 「今日はやらないの?」「やりたくなかったらいいよ」は控えられるようになった
- 朝のピアノ練習を自主的に始めた日が増えた
- 「今日はどうだった?」と聞くと、前より素直に話してくれるように
- 自分の言葉を少しずつ見直すことで、親子の対話がやわらかになっていった
『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』超要約
マンガと言葉で分かりやすく、事例も豊富なので普段のシーンでも実用的に使いやすい内容の書籍です。

親の言葉は子どもに正しく伝わっていない。
子どもの判断を認める言葉に変える。
ありのままを認めてあげる。
書籍 | 子どもを伸ばす言葉実は否定している言葉 |
著者 | 天野ひかり |
マンガ | とげとげ |
出版社 | ディスカバー・トゥエンティワン |
「子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉」の著者 天野ひかりの紹介
天野ひかり先生は、NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を活かし親子コミュニケーションアドバイザーとして講師を務めておられます。主な著書に「子どもが聞いてくれて話してくれる会話のコツ」などがあります。
「子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉」書籍要点
良かれと思って発している言葉は子どもを否定しているかもしれない。
親の言葉は子どもには、正しく伝わっていない。大人がこうするべきとする言葉から、そのまま認める視点での言葉がけへ変えることが大切。
自己肯定感を育ててあげることが大切、自己肯定感を育てることで子どもの器を大きくすることができる。
毎日の言葉がけと認めてあげることがポイント。
子どもがした判断自体を認めてあげることがとても重要。
各シーンやこんな時にどのような言葉をかけるのが良いのかOK例とNG例を交えながら、マンガでもわかりやすく解説してあります。
「子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉」書籍構成と要約
「子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉」は全部で4章の構成となっています。あとがきまで合わせて277ページ。となかなかのボリュームがありますが、マンガとPOINT解説でNG例の言葉がけとOK例の言葉がけの記載がシーン毎に書かれているのでページ数ほど多く感じず読めると思います。各章では子供が言うことを聞いてくれない時にどんな視点での言葉がけが有効かや、子ども自身で考え行動できるようになる言葉がけなど、具体例やシーンを交えて解説されています。こうなってほしいなとか、こんな時困ったなとかそのポイントのみ読むことでも実践的で真似できると思います。最初から順番に読むことでも、自分が悩んでいるポイントの部分をピックアップして読んでみるのも両方の使い方ができる書籍だと思います。
1章:こどもの視点に立ってみる言葉
2章:子どもが自分で考え始める言葉
3章:子どもの力を認めて伸ばす言葉
4章:子育ての不安が消える言葉
それでは、各章の内容の要約を絞って書いてみたいと思います。
1章:こどもの視点に立ってみる言葉
親から見ると無駄出会ったり無意味と思える行動や言葉にはすべて子どもにとっては意味があります。その意味を子どもの視点に立って、その世界が見えてくるような言葉がけのシーンと言葉が開設されています。
冒頭、親にとってのあたりまえのリセット。子どもが理解してほしいことを理解できるような言葉が必要。「やりたくない」という言葉にもいろいろな意味が隠れている。子どもが親に求めている、親に反応してほしいことを認めてあげましょう。
2章:子どもが自分で考え始める言葉
行動を促すには、そのままの自分を認めてもらうことが重要。子どもがこのままの自分でいいなと思える言葉たちの紹介。子どもが自分で考え行動してもらうには、子ども自身がいつから何をやるのかを決めることが重要。主体的に取り組めるような言葉のかけ方が書いてあります。よく考えなさいと言う言葉1つにしても子どもの捉え方は親の発した意味とは異なります。子どもが興味をもって行動するような言葉がけが重要です。
3章:子どもの力を認めて伸ばす言葉
工夫や頑張りをそのまま認めることが大切。そうすることにより自己肯定感が高まり自身の本来の力が発揮できるようになるような言葉がけが紹介されています。一緒に○○しよう!どうしたい?といった言葉が、一緒に学ぶや自分がどうしたいかを意思表示の発信につながります。
4章:子育ての不安が消える言葉
親自身もがんばりを認めることで子育ての不安がラクになる言葉がけが紹介されています。
ほめ方や比べ方、いいところ、得意なことをしっかり認めてあげる
子ども自身の新しい環境における不安に思った時にかける言葉など。
まとめ:言葉ひとつが、未来への窓になる
「子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉」は、親がふとつぶやく言葉の裏にある“子どもへのメッセージ”を優しく照らしてくれます。
言葉は小さなものだけれど、親子の信頼や子どもの自己肯定感を育てる土台にもなり得ます。
今日からできる一言の選び直しが、子どもが「自分で考えよう」と思えるきっかけになったら。
もし子育ての中で、イライラや焦り、罪悪感を感じる人がいたら、この本はそっと寄り添ってくれると思います。
おわりに
子育ては“正解探し”ではなく、“関係性育み”の旅。
今日も明日も、大切な言葉を少しずつ選んでいけたら、子どもも自分も、心地よい親子時間を重ねていけるはずです。
☆ 本書は漫画中心で、読みやすく、気軽に実践できるヒントが豊富です。言葉のチョイスに迷いを感じたら、まずはこの一冊から。何か心に引っかかった言葉があれば、そっと置いてみてください。そこから、新しい親子の対話が生まれていくように思います。
興味がある方はぜひ読んでみてください
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